« 『電材流通新聞』にインタビューが掲載されました | トップページ | 『電材流通新聞』に原稿を書きました・其ノ肆 »

2011年10月13日 (木)

放射能に台風ときたもんだ

 9月12日、6月に会社敷地内に植えたひまわり(あまりきれいには咲きませんでした)2,000本を根っこから引っこ抜いて、ついでに草も刈って、集めてみたら7マイクロシーベルト/時でした。ドラム缶7本に詰めて、業者を呼んで穴を掘って、コンクリート漬けにしました。

 9月16日、高圧洗浄機による除染開始。主に建物の屋根・壁、そしてアスファルト舗装部をねらっていますが、除染前の計測では雨樋や側溝の線量(距離1cm)はまだまだ高く、9マイクロシーベルト/毎時の箇所を発見。除染後には約半分に(それでも半分、ですが)落ちて4~5マイクロシーベルト/毎時になりました。だいたい、高圧洗浄機による除染の効果は、数値を半分にすると考えればいいのかな、と思っています。

20110923_1_boat256 9月21日夜、台風15号上陸。須賀川市内はあちこちで冠水、倒壊の恐れがあるため須賀川アリーナ(屋内競技場)に移転していた市役所の一部も机の上まで水に浸かり、庁用車11台がおじゃん。仮設住宅も床上浸水で全国に報道されるありさま。私が常宿にしている北へ15kmの郡山市のホテルまでは、冠水箇所が多すぎて、車でたどり着けたのが奇跡のようでした。

 一夜明けてみれば同じく郡山市在住の社員2名が住宅の一階部分がキッチンの上までやられ、うち1名は水が退かずにボートで救助されたとのニュース(この写真は9月23日の福島民報一面トップを飾ったもので、その社員一家が写っています!)。もう一日おいてから、高圧洗浄機と発電機を社員4名に持たせて、洗浄の手伝いにいってもらいました。高圧洗浄機の本来の使い方ができてうれしいというかなんというか(笑)。

 低線量内部被曝(食物・水や空気から摂取し体内に放射線物質を取り込んでしまう)の恐ろしさがだんだん活字レベルではまっとうに流通するようになってきました。難しい話はもちろん理解すべきですけれど、イメージとしてこういうことがおきると私は想像します。

 今小学校一年生の子が六年生になったとき、クラスに一人か二人、癌で入院する人が出る。夏休みをこえたらもう一人入院した。

 もう十分でしょう? どんな学校の怪談より怖いでしょう? この時の学校はおそらくパニックになります。すべての子どもは「次は自分かもしれない」と思ってしまいます。

 学校・地域・家族が一緒になって除染活動や被曝した食物から逃げる行動をできるだけやり続けて、それでも上記の怪談が発生する場合と、「大丈夫だから気にするな」と言われて特別に何もしないで怪談が発生するのと、どちらがいいでしょう? 私は、やるだけやった方が、ずっといいと思います。やらなかったら、きっと、先生や両親は「恨まれ憎まれ蔑まれ」ることになるでしょう。

 10月6日、須賀川市農協広報担当者と会いました。500万円を投じてドイツ製の線量測定器を注文していたのがやっと到着したとのこと。作業の実際は、1kgあたりのベクレルを測るのに400~500gの試料を用意し、フル回転でも一日に10検体の測定が限界だそうです。何十何百とある野菜や穀物を店頭販売形態で一籠ずつ測るなんていうのは夢物語。実際には農協に持ち込むときにサンプルを測るのが精いっぱいでしょう。すでによく知られていることですが、広い畑や田圃の全体が同じ濃度であることなどあるわけがなく、測らないよりまし、というレベルとしか言いようがありません。

 市でも3台、同様の機械を入手したらしいのですが、この測定速度では、まだまだ消費者重視でなく、生産者重視ということになるでしょう。せめて、政府のいう暫定基準値以下なら販売可能というような乱暴な売り方をせず、独自の基準、できれば1kgあたり20ベクレル以下をもって販売可として欲しい、測っていないものについては「測っていない」と表示して欲しい、高かったら乳幼児や小学生には食べさせてはいけないとことわって欲しい、と強くお願いしました。担当者自身は私の話を理解してくださったと思いますが、実際にはどうなんでしょう?

 10月7日の弊社の高圧洗浄機による除染作業を、市長のご母堂とそのご友人計5名が見学していかれました。実際の作業をつぶさにご覧になり、大変興奮しておいででした(笑)。何とか市の方針が今後弱者保護の方向へ変更していく、そのきっかけになっていただくことを願います。

 10月10日、政府が1ミリシーベルト/年以上の地域を国費で除染する旨発表しました。須賀川市は、除染作業を市町村で行う地域に入りますから、たとえ未来にいくばくかの費用が国庫から戻ってくるにせよ、やっぱりまずは自腹ではじめなければいけません。その先陣を切った弊社としては、いくら高圧洗浄機を使用しても、ゼロにすることはできないし、自分の敷地がたとえきれいになっても時間が経てばまたまわりから押し寄せてくるし(笑)、要するに今後、定期的に、何度も何度も、おそらく「いつまでも」除染を続けていかなければなりません。

 業務で社内の除染ができても、社員の家は? その前に、会社のまわりは? 除染といってもその範囲は膨大すぎて、気が遠くなっていきます。せめて、一回やればそこはもう大丈夫、という作業ならやりがいも見いだせるのですが、やってもまた時間が経つと線量が高くなるのではイタチごっこです。雪が降る前に全敷地を一回はスクロールすべく、もう一台、高圧洗浄機を購入しました。

|

« 『電材流通新聞』にインタビューが掲載されました | トップページ | 『電材流通新聞』に原稿を書きました・其ノ肆 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

福島」カテゴリの記事

ミッション経営」カテゴリの記事